特集 症例から学ぶミトコンドリア病
総論
ミトコンドリア病の治療・代謝救急
梶 俊策
1
KAJI Shunsaku
1
1津山中央病院小児科
pp.570-576
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000118
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はじめに
ミトコンドリア病はミトコンドリア呼吸鎖の異常によるATP産生障害のために,エネルギー需要の大きい臓器に障害をきたす疾患である。呼吸鎖の障害により,電子担体であるNADHからの電子の受け渡しが困難になり,NADHの過剰とNAD+の低下が生じ,NADH/NAD+比が上昇する。ミトコンドリアでのこの状態はやがて細胞質にも及んでいく。NADH/NAD+比の上昇はNADHの酸化(NADH+H+→NAD++2H++2e−)と共役している反応を促進させNAD+が再生される。ミトコンドリア内ではアセト酢酸→3OH酪酸,細胞質ではピルビン酸→乳酸の反応が代表的である(図)。
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