特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
10) ミトコンドリア病
康 東天
1
Dongchon KANG
1
1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野
キーワード:
ミトコンドリアDNA
,
ヘテロプラスミー
,
マルチコピー
Keyword:
ミトコンドリアDNA
,
ヘテロプラスミー
,
マルチコピー
pp.1453-1457
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101437
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ミトコンドリアゲノム,ミトコンドリア病とその遺伝子検査の詳細ついては他の総説を参照されたい1~6).
ミトコンドリア病とは
ミトコンドリアの主要な働きの1つが酸化的リン酸化による好気的なATP(adenosine 5´-triphosphate)合成であることは周知のことであるが,ミトコンドリアはそれに加え,脂肪酸酸化,リン脂質の合成,ステロイドホルモンの合成,ヘムの合成,細胞内カルシウム濃度の調整など非常に多くの代謝に関与しているのみならず,アポトーシスという細胞死にも中心的役割を果たしている.広義にはそれらミトコンドリアのどの働きが障害されても,ミトコンドリア病であるが,臨床の現場では,ミトコンドリアでのATP産生能の低下に起因する病態を狭義にミトコンドリア病と称している.狭義のミトコンドリア病のなかで3大病型と呼ばれるものが約70%を占める(表1).
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