症例
生後早期のアルドステロン測定により診断にいたった早産児のⅠ型偽性低アルドステロン症の1例
角谷 哲基
1
,
牟禮 岳男
1
,
榎本 真由子
1
,
藤坂 方葉
1
,
水野 洋介
1
,
下村 真由美
1
,
西野 昌光
1
,
野津 寛大
2
,
飯島 一誠
2
,
吉井 勝彦
1
KAKUTANI Tetsunori
1
,
MURE Takeo
1
,
ENOMOTO Mayuko
1
,
FUJISAKA Masayo
1
,
MIZUNO Yosuke
1
,
SHIMOMURA Mayumi
1
,
NISHINO Masamitsu
1
,
NOZU Kandai
2
,
IIJIMA Kazumoto
2
,
YOSHII Katsuhiko
1
1社会医療法人愛仁会千船病院小児科
2神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科
pp.237-241
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000046
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はじめに
Ⅰ型偽性低アルドステロン症(pseudohypoaldosteronism type 1:PHA1)は腎臓やそのほかのミネラルコルチコイドの標的組織におけるアルドステロン抵抗性を示す遺伝性疾患である。アルドステロン分泌は正常であるにもかかわらず,遠位尿細管における先天的なナトリウム再吸収能の低下のため,新生児・乳児期に低ナトリウム・高カリウム血症をきたして発症する1)。常染色体優性遺伝の形式をとるⅠ型偽性低アルドステロン症A(PHA1A),常染色体劣性遺伝の形式をとるⅠ型偽性低アルドステロン症B PHA1B,孤発例が存在する。低ナトリウム血症は新生児期に,とくに早産児において高頻度でみられ,またPHA1はまれな疾患と考えられているため,その診断は遅れる傾向にある。しかし,PHA1は,近年,乳幼児の低ナトリウム血症の原因疾患の2.3%を占めるとの報告もあり2),早期の鑑別が重要である。
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