症例
新生児遷延性肺高血圧症を呈した先天梅毒の1例
横山 陽子
1
,
古林 真佐美
1
,
井上 翔太
1
,
藤坂 方葉
1
,
木原 沙紀
1
,
水野 洋介
1
,
横田 知之
1
,
牟禮 岳男
1
,
西野 昌光
1
,
吉井 勝彦
1
YOKOYAMA Yoko
1
,
KOBAYASHI Masami
1
,
INOUE Shota
1
,
FUJISAKA Masayo
1
,
KIHARA Saki
1
,
MIZUNO Yosuke
1
,
YOKOTA Tomoyuki
1
,
MURE Takeo
1
,
NISHINO Masamitsu
1
,
YOSHII Katsuhiko
1
1社会医療法人愛仁会千船病院小児科
pp.414-417
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000829
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序 文
梅毒は,Treponema pallidumを原因とする細菌感染症である。ペニシリンによる治療が確立して以来,梅毒患者数は大きく減少したが,1990年代以降,再度増加傾向を認め,再興感染症として認識されている。わが国でも妊娠可能な若年女性の梅毒罹患の増加を認めており,社会的問題となっている。現在,わが国では初期の妊婦健診で梅毒スクリーニング検査が行われている1)が,それだけでは検出できない母体梅毒症例がみられており,結果として症候性先天梅毒の増加につながっている2)。先天梅毒はよく知られた疾患であり,その臨床所見は広く認知されているが,新生児医療の進歩とともに,先天梅毒の臨床症状は変化してきている。特に,新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn:PPHN)との関連について注目されてきている3,4)。一般的に先天感染症はPPHNの原因となりうるが5),先天梅毒も例外ではない。今回,われわれは未受診母体から出生した児において,出生直後よりPPHNを呈したが,肝腫大,皮疹などより先天梅毒を疑い治療できた先天梅毒の症例について報告する。
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