特集 周産期の薬物療法 update 2025 産科編
各論:周産期感染症
梅毒
倉澤 健太郎
1
KURASAWA Kentaro
1
1横浜市立市民病院産婦人科
pp.968-973
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri0000002256
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はじめに
梅毒はSpirochaetaceae科Treponema属の細菌であるTreponema pallidum(梅毒トレポネーマ)によって引き起こされる性感染症であり,古くから存在する疾患であるが,近年,特に若年層や妊婦において再興の傾向がみられる(図1)1)。性感染症のなかでも診断が遅れると重篤な合併症を引き起こす可能性があり,早期発見と適切な治療がきわめて重要である。梅毒トレポネーマは粘膜や皮膚の微細な傷から侵入し,あらゆる臓器に急性・慢性の炎症を引き起こし,偽装の達人(the great imitator)と称されるように,他疾患と区別しにくいさまざまな症状を引き起こす。性感染症としての梅毒は,単に個人の健康問題にとどまらず,公衆衛生上の重大な課題として捉えられている。

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