講座
妊婦梅毒と先天梅毒について
中島 精
1
1慶大
pp.10-14
発行日 1953年3月1日
Published Date 1953/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200294
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最近の東京タイムスによるとアメリカにおいては梅毒は近々撲滅されるだろうというととが報告されているという。誠に嬉ばしい事である。実際において我国においても,終戰前及終戰直後に比して,現在は淋疾と共に梅毒患者は著しく減少して来ておるととは,我々日常診療するものが,痛切に感じておる所である。之はペニシリン等の新抗生物質が出来て治療が容易になつたことと思われるが,他方妊婦手帖が戰爭中から実施せられて,血液検査を早期に受けて,早期に発見治療せられるようになつたことが,大なる原因であると思う。此処に妊婦手帖の実施に盡力せられた瀨木博士に大いに感謝しなければならぬと思う。然し乍ら我国にむいては未だ撲滅という迄には至つていない。不潔な性交が絶えない社会施設に対して一層嚴重な監督が望ましい。
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