特集 産婦人科診療の進歩
妊婦梅毒・先天梅毒
中島 精
1
1慶應大學
pp.735-740
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200932
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A.妊婦梅毒診斷について カーン氏法
從來梅毒の血清學的診斷法には種々あつて,補體結合反應によるワツセルマン氏反應を中心とするものと,各種の沈降反應を使用するものとが主として使用せられた,然し何れも非特異性反應もあるので,1つの診斷法のみを以つて決定することは甚だ危険であるとせられ,潜伏梅毒の診斷には2つ以上の診斷法によつて決定すべきであるとせられ,ワ氏反應及び沈降反應が代表せられた。然し乍ら妊婦においては古くより,非特異性に反應するものが多く,その割合も或は1%といい或は3%という。多い人では10%にも及んでいる。その本態については未だ明確にせられていない。そこて戰後においては,國際聯盟において優秀なものとせられたカーン氏反應が再び採用せられるに至つたのである。
カーン氏反應は我國においては昭和2年に北研田島氏により追試せられたのであるが,成績が芳しくなかつたので,一般には採用せられなかつた。戰後東大緖方教授により追試優秀なるものとせられ,昭和23年度の厚生省衞生検査審議會第3回試驗においては,特異度が最も優れておるとせられた。その後カルジオライピン抗原が使用せられるに至り,その優秀性が高まり,今日では必要な検査方法となるに至つたのである。
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