特集 免疫学的検査の進歩
Ⅱ.感染症
梅毒
水岡 慶二
1
1東京大学・中検
pp.1164-1165
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915255
- 有料閲覧
- 文献概要
最近梅毒そのものが減少し,血清検査の分野における梅毒血清反応の占める割合が小さくなったとは言え,なお依然として梅毒血清反応は重要な検査項目であることには変わりがない.現に広く行われているいわゆる人間ドック式の検査には,必ず組み入れられている検査項目である.
かつてはカルジオライピン—レシチン抗原による反応(STS)だけを頼りに梅毒を診断し治療を行っていたわけであるが,TPHAテストやFTA-ABSテストが実用化されてからは,STSの生物学的偽陽性(BFP)反応が大きくクローズアップされ,梅毒を診断するにはSTSとトレポネーマ抗原の反応とが車の両輪のごとく並行して実施されなければ,正しい診断が行えないということが分かってきた.FTA-ABSが日本で実用化され,TPHAも相前後して日常検査に取り入れられてから既に10年以上の年月がたった.当初これらトレポネーマ抗原による反応の意義を理解する当たって多少の混乱がみられたが,現在ではその解釈もいきわたり大きな混乱はみられなくなったようである.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.