特集 周産期救急システム―初期対応と災害対策
新生児救急発症時の対応 乳幼児突発性危急事態(ALTE)
内山 環
1
UCHIYAMA Tamaki
1
1大津赤十字病院新生児内科
pp.729-731
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002185
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はじめに
乳幼児突発性危急事態(apparent life threatening event:ALTE)とは,1986年に米国国立衛生研究所(NIH)から提唱された疾患概念で,わが国の厚生労働省研究班の定義〔平成24年(2012年)〕では呼吸の異常,皮膚色の変化,筋緊張の異常,意識状態の変化のうち一つ以上が突然発症し,児が死亡するのではないかと観察者に思わしめるエピソードで,回復のための刺激の手段強弱の有無,および原因の有無を問わない徴候とされている。ALTEの原因は多岐にわたるため,原因の特定に努め,その治療を進める必要がある1)。近年では,生後1週間以内のローリスク新生児に発生する乳幼児突然死症候群(sudden infant death syndrome:SIDS)とALTEを包括するsudden unexpected postnatal collapse(SUPC)という概念も提唱されており,本稿にはより馴染む考え方かもしれない。

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