特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:産褥期
産褥数日後に血圧が160/90 mmHgを超えるようになった
成瀬 勝彦
1
NARUSE Katsuhiko
1
1獨協医科大学産科婦人科
pp.590-593
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002152
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はじめに
妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は分娩の終結によって一旦改善することがほとんどであるが,分娩後も高血圧が持続する例や,帝王切開術後などに改善した血圧が再度上昇することがしばしばみられる。またHDPの定義は妊娠時に高血圧を認めることであり,産後に初めて高血圧を認める場合はこの定義に当てはまらないが,稀にそのような症例に遭遇することがある。特に血圧上昇が重症域に達する場合,妊娠中であれば高次施設での管理に踏みきりやすいが,産褥発症の子癇発作やHELLP症候群も決して頻度の低いものではなく,産後の対応については苦慮することが多い。分娩周辺期の女性が非妊時より脳卒中のリスクが高い(9倍)ことは知られているが,産後6週間までの女性も約3倍と高いこと1)は知っておかなくてはいけない疫学である。

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