特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:妊娠中
前回の分娩時に胎盤用手剝離を行った
熊澤 理紗
1
,
兵藤 博信
1
KUMAZAWA Risa
1
,
HYODO Hironobu
1
1東京都立墨東病院産婦人科
pp.553-557
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002145
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はじめに
胎盤用手剝離とは,分娩時,胎児娩出後(分娩第3期)に胎盤が自然に排出されない場合に,子宮内に手を入れ,胎盤を子宮から剝がし娩出させる処置である。妊婦の3.3%は分娩第3期に30分以上を要し,医療介入の頻度が上昇するといわれている1)。主な原因は,①胎盤は子宮壁から剝離しているが,子宮頸部の痙攣性収縮により娩出が遅延しているもの(胎盤嵌頓)と,②胎盤の一部または全体が剝離せず子宮壁に付着したままのもの(癒着胎盤,固着胎盤)の2つである。胎盤用手剝離の手技が必要となるのは後者で,特に出血量が増加し緊急性が高い場合は速やかに胎盤を娩出させる必要がある。実際に2.7%の妊婦で胎盤用手剝離が施行されているとの報告もあり2),胎盤用手剝離の既往のある妊婦は決して稀ではない。

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