特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:妊娠中
経腟超音波検査で帝王切開瘢痕部が薄い
稲富 絢子
1
,
辻 俊一郎
1
INATOMI Ayako
1
,
TSUJI Shunichiro
1
1滋賀医科大学産科学婦人科学講座
pp.558-561
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002146
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はじめに
帝王切開を実施すると,術後に子宮峡部前壁にniche(陥凹)とよばれる部位が約6割の症例で形成され,nicheの深さが2 mmを超えるとcesarean scar defect(CSD)と定義される。非妊娠時にはこのCSDに起因して,月経終了後も持続する褐色帯下の分泌物,月経痛,さらにはnicheに液体の貯留がみられ,結果として続発性不妊症を引き起こす場合がある。この状態はcesarean scar disorder(CSDi)ともよばれ,日本語訳では帝王切開子宮瘢痕症として認知されている。一方,妊娠中においても子宮下節(lower uterine segment:LUS)の菲薄化所見が認められることがある。しかしながら,妊娠中のLUSの薄さをどのように評価し,臨床的にどのような意義を見出すべきかについては検討すべき点が多く,判断に苦慮する場合がある。

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