TORCH感染と胎児異常

はじめに

　TORCHとは，胎内感染により児にさまざまな障害を与えうる代表的な病原体の頭文字をとり，覚えやすくしたものである（表1）。本稿のテーマは超音波診断ではあるが，当然のことながらTORCH感染の診断確定は病原体の検出や血清学的検査により行われる。胎児超音波検査は検出可能な形態的・機能的異常が出現した場合に役立つに過ぎない。しかし感染例の胎児形態の経過観察を要する場合や，胎児超音波検査の異常所見がTORCH感染診断の契機となる場合もあり，胎児超音波検査は重要である。本稿ではTORCH感染により超音波検査で認められる胎児異常につきポイントとなる関連知識を述べる。