特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 D.胎児発育の評価
胎児発育の評価と異常アップデート―胎児発育の定義,胎児計測法とその注意点
紀平 力
1
KIHIRA Chikara
1
1帝京大学医学部産婦人科
キーワード:
FGR
,
SGA
,
LGA
,
AGA
,
胎児発育
Keyword:
FGR
,
SGA
,
LGA
,
AGA
,
胎児発育
pp.150-159
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001834
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はじめに
正常な胎児発育は,母体,胎児,および胎盤の因子の影響を受ける。胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)は,これら3つの因子のいずれかに異常があるために子宮内で胎児の発育が障害され,週数相当の発育ができなかった状態と定義される。FGRは死産リスクの有意な増加と関連しており,推定胎児体重(estimated fetal weight:EFW)が標準の10パーセンタイル未満では,胎児死亡のリスクは約1.5%であり,これは正常な成長の胎児の2倍である。一方,胎児体重が5パーセンタイル未満では,胎児死亡のリスクは2.5%に増加すると報告されている1,2)。早期発症のFGRは重症化や予後不良の率が高いとされる3)。また,小児期における神経発達遅延や,成人期における心血管疾患,脂質異常症,糖尿病のリスク増加など,生活習慣病の発症とも関連する4)。これらより,妊婦健診でFGRをスクリーニングすることは重要である。
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