特集 「次」につなぐ「周産期医療」―次回妊娠への対策と次世代への影響を考える
前回帝王切開症例の注意点 瘢痕部妊娠
高橋 宏典
1
TAKAHASHI Hironori
1
1自治医科大学産科婦人科
pp.485-488
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001519
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概 要
帝王切開瘢痕部妊娠(cesarean scar pregnancy:CSP)は帝王切開創部(瘢痕部)に胚が着床することである。これに気づかず妊娠を継続すると,子宮破裂や癒着胎盤を惹起し,周産期転帰を著しく害する。このためCSPと診断すると妊娠の中断を勧める。治療週数が早ければ早いほど,母体合併症も少なく,子宮温存の確率が高まる。一方,CSPの診断は簡単ではない。進行流産と間違うことがあるし,胚の付く場所が創部にわずかに接するCSPの場合は妊娠経過とともにすぐに胎囊が内腔側に拡大し,正常妊娠との鑑別が困難になる。また,CSP既往をもつ女性の約20%にCSPが再発することを認識する必要がある。
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