原著
前回帝王切開の取り扱いに関する検討
嶋本 富博
1
,
立山 浩道
1
,
吉山 賢一
1
1宮崎県立宮崎病院産婦人科
pp.1319-1323
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902283
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回帝王切開の場合の分娩の取り扱いについて,過去15年間の分娩症例を対象として検討した.分娩総数は10,164例で,そのうち帝王切開は1,572例(15.5%)であった.帝王切開の適応としては前回帝王切開が最も多く356例(22.6%)であった.しかし前回帝王切開の内273例(43.4%)は経腟分娩を試み,そのうち225例(82.4%)が経腟分娩となった.前回帝王切開時の適応別に見てもcephalopelvic disproportion(CPD)を含めた分娩停止の場合でも,80%は経腟分娩となった.また経腟分娩を試みた症例の中には子宮破裂の症例は1例もなかったが,切迫破裂を疑われるものは5.25%と高率に認めた.したがって,前回帝王切開であっても,症例を選んで経腟分娩を行えば,80%以上が経腟分娩が可能であった.しかし,前回帝王切開例では,慎重に分娩経過を観察し,切迫子宮破裂・子宮破裂を疑われる場合は,速やかに帝王切開を行える準備をしておくべきである.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.