特集 Late preterm・Early termを展望する
各論
産科編―産科合併症・合併妊娠の最適な分娩時期 妊娠高血圧症候群
植木 典和
1
,
牧野 真太郎
2
UEKI Norikazu
1
,
MAKINO Shintaro
2
1順天堂大学医学部附属順天堂医院産婦人科
2順天堂大学医学部附属浦安病院
pp.484-487
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000111
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はじめに
2018年に妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)の定義および病型分類が改訂された。妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)は妊娠20週以降の高血圧に蛋白尿もしくは,蛋白尿がなくても母体の臓器障害や子宮胎盤機能不全を合併する病態として再定義された。PEは約6%に合併し,1~2%は重症である。PEは子癎発作や常位胎盤早期剝離,子宮内胎児発育不全などの重篤な妊娠合併症と関連し,世界で年間70,000人の母体死亡や500,000人の新生児死亡の原因となっている。PEはヒポクラテスの時代から認められている妊娠合併症でありながら,「学説の疾患」といわれるように多くの病因・病態論が展開されながらも未だに発症機序は解明されておらず,不可逆的な病態であるため根治療法は妊娠終結のみである。母体の重篤な合併症を防ぐための妊娠終結が,結果的に早産となり,未熟性による児の合併症を起こしうる。HDPに対する妊娠終結のタイミングはHDPの病型や母児のリスクバランスを考慮する必要がある。
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