増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
血液・黄疸
黄疸の光線治療の基準はなぜ出生体重によって違うのか
今川 幸人
1
,
藤岡 一路
1
IMAGAWA Yukihito
1
,
FUJIOKA Kazumichi
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
キーワード:
総ビリルビン(total bilirubin:TB)
,
アンバウンドビリルビン(unbound bilirubin:UB)
,
経皮的ビリルビン(transcutaneous bilirubin:TcB)
,
光線治療
Keyword:
総ビリルビン(total bilirubin:TB)
,
アンバウンドビリルビン(unbound bilirubin:UB)
,
経皮的ビリルビン(transcutaneous bilirubin:TcB)
,
光線治療
pp.585-587
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001376
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新生児黄疸の基本病因,発症機序
新生児黄疸は,ヘモグロビンの代謝産物であるビリルビンが体内に蓄積し,全身皮膚へ分布する状態である。ビリルビンは,赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され,heme oxygenaseの作用によりhemeから鉄や一酸化炭素が遊離してビリベルジンとなり,ビリベルジンがbiliverdin reductaseにより代謝されて産生される1)。網内系で産生されたビリルビンは,間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)とよばれ非水溶性であり,アルブミンと強固に結合して肝臓に運ばれ,小胞体膜に存在するビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素によるグルクロン酸抱合を受け,水溶性の直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)に変化し,胆汁へ排出される。胆汁へ排出された直接ビリルビンは,腸管内細菌による水酸化を受け,ウロビリン,ウロビリノーゲン,ステルコビリンに変化し,一部は尿中に,大部分は便中に排出される2)。体内に存在するビリルビンの大部分はアルブミンと結合しているが,アルブミンと結合していないアンバウンドビリルビン値(unbound bilirubin:UB)がわずかに存在し,このUBが血液脳関門を容易に通過することで神経細胞毒性をもち,ビリルビン脳症に強く関与することが知られている3)。
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