特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅳ.MRI診断 A.頭部
核黄疸(慢性ビリルビン脳症)
白井 佳祐
1
,
藤岡 一路
2
SHIRAI Keisuke
1
,
FUJIOKA Kazumichi
2
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
2神戸大学大学院医学研究科こども急性疾患学部門
キーワード:
核黄疸
,
ビリルビン脳症
,
高ビリルビン血症
,
早産
Keyword:
核黄疸
,
ビリルビン脳症
,
高ビリルビン血症
,
早産
pp.510-512
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001909
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ビリルビン脳症の病態,症状
ビリルビン(特にアンバウンドビリルビン)の神経細胞毒性に起因した脳障害をビリルビン脳症とよび,慢性のビリルビン脳症は,病理学的に基底核が黄染することから,核黄疸(kernicterus)とよばれる。溶血性疾患やG6PD欠損症,低アルブミン血症,アシドーシス,感染症などが,アンバウンドビリルビンの上昇および生体防御機構の低下をもたらし,ビリルビン脳症のリスクを高めることが知られている1)。海外の報告では,在胎35週以上の出生10万人あたり,血清ビリルビン値が25 mg/dL以上30 mg/dL未満まで上昇するのが50人,30 mg/dL以上まで上昇するのが6.8人と報告されているが2),わが国では,正期産児のビリルビン脳症はほぼ認めることがないため,核黄疸の発生は主に早産児に限られる。また,早産児では,比較的軽症の高ビリルビン血症であっても神経学的後障害を起こしうることが指摘されており,早産児ビリルビン脳症とよばれる。近年,早産児でのビリルビンによる軽微な中枢神経障害を,ビリルビン誘発性神経機能異常(bilirubin-induced neurologic dysfunction:BIND)として運動や姿勢の異常,言語に関する問題,感覚の異常などとの関係性が懸念されている3)。
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