特集 楽しくお産・楽しく育児―身体的・精神的・社会的(Biopsychosocial)な課題からみた出産・育児支援
社会的課題
経済的支援
佐藤 拓代
1,2
SATO Takuyo
1,2
1公益社団法人母子保健推進会議
2一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク
pp.1791-1794
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001207
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はじめに
「妊娠,出産,子育てにはお金がかかる」「貯金してからでないと妊娠はできない」。これは,筆者が加わる「子どもと家族のための緊急提言プロジェクト」1)に届いた若者の声である。子どもをもつかもたないかは,一緒に生きていく女と男(LGBTQを含める)の究極の生き方の問題だが,その生き方を選択する際に経済問題の影響は大きい。妊娠を診断してもらいたくて産婦人科を受診すると「健康保険は使えません」と言われ,出産費用が高額なことを初めて知る。退院時に健康保険等から医療機関側に支給される出産育児一時金(昨年度まで42万円であったが2023年度から50万円になった)をこえた金額を請求され,「ベビーカーを買おうと貯めていたお金がなくなった」と話す女性もいる。子どもをもとうかと考える先に,大きく妊娠・出産費用の高額化がのしかかっている。
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