Japanese
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特集 リハビリテーションの経済学
環境整備による経済的効果
Economical Effect on Barriars for Design.
野村 歓
1
Kan Nomura
1
1日本大学理工学部
1College of Science & Technology, Nihon University.
キーワード:
環境整備
,
経済的効果
Keyword:
環境整備
,
経済的効果
pp.543-546
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104573
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はじめに
昭和40年代のなかばから,障害者に対する住宅の整備や都市施設の整備等いわゆる物的環境整備がさかんに行われはじめたが,そもそもはアメリカ合衆国で始められたものである.すなわち1959年(昭和34年)ジョン・F・ケネディ大統領が身障者雇用に関する諮問委員会で建築的障害のために就職の機会均等が損なわれていると指摘し,障害者が行動しやすい生活環境を創り出すにはどうしたらよいかを諮問した.これに対し,ASA(American Standard Association)内に設けた委員会はTimothy・J・Nugent教授(イリノイ大学リハビリテーション教育研究所)を中心に環境整備基準作成にとりかかり,これを1961年に完成させたわけである1).
このように環境整備基準作成のきっかけは「就職の機会均等を損う建築障害物の除去」という就業に対する平等原則を守ろうとする基本的姿勢があったにせよ,障害者側からは「就職」という経済活動の保障が要求されていたし,合衆国としても障害者が働くことによって「税金の消費者から納税者になる」ことを期待していたともいえよう.
環境整備基準作成は単に経済的効果のみならず障害者の精神的・社会的自立を促がすなど多くの目的があるわけであるが,今回は特に経済的効果について述べてみたい.ただし,ここでいう経済的効果とは,単に金銭面での経済性のみならず,所要時間の短縮といった時間の経済性,介助の軽減といった労働面の経済性,さらに福祉サービス,安全面からと多角度から経済性をとらえようと試みた.
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