特集 楽しくお産・楽しく育児―身体的・精神的・社会的(Biopsychosocial)な課題からみた出産・育児支援
社会的課題
産後ケア事業の現状と今後の課題
岡本 美和子
1,2
OKAMOTO Miwako
1,2
1日本助産師会
2日本体育大学児童スポーツ教育学部
pp.1787-1790
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001206
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はじめに
わが国では,出産後の女性が実家に里帰りし家族や身近な親族の世話を受け心身ともに養生するという古くからの風習があり,現代においても続いている1)。出産後の一定期間を身近な親しい女性たちから世話を受け,十分に養生することがその後の子育てや女性の健康において必要であると認識されており,現在の産後ケアにも通じるものがある。近年,出産年齢の高齢化により女性の親も高齢であるため出産後の世話を頼むのが難しいことなどから,パートナーと2人で産後を乗り切ろう,何とか乗り切れるだろうというカップルは決して少なくない。ところで,4人のうち3人が子どもの世話をするのはわが子が初めてという現代の子育て家庭において2),日々成長発達する子どもの変化に24時間向き合う子育てはチャレンジの連続であろう。身近に支援者のいない状況で,出産後の女性が心身ともに養生する時間を確保することは困難に等しいと推察できる。
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