特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
産科危機的出血 常位胎盤早期剝離
早田 英二郎
1
HAYATA Eijiro
1
1東邦大学医学部産科婦人科学講座
pp.351-354
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000814
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はじめに
常位胎盤早期剝離は,胎盤が分娩前に部分的もしくは全体的に脱落膜から剝離する病態をいう。頻度は報告によりさまざまであるが,概ね0.3~1.0%程度とされている1)。胎盤が剝離すると,母体との酸素交換ができなくなり,児は低酸素状態に陥る。妊産婦死亡症例検討評価委員会の調査では,2010~2021年の間に発生した妊産婦死亡357事例のなかでは産科危機的出血によるものが94例でもっとも多く,産科危機的出血の原因として常位胎盤早期剝離は11%(10例)を占め2番目に多かった2)。また,産科医療補償制度再発防止に関する報告書によれば,単一病態が記載されている事例において,本疾患が34.7%を占めもっとも多かった3)。
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