特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
総論
遺伝性疾患をもつ児と家族に対する社会福祉体制
神原 容子
1
,
三宅 秀彦
1,2
KANBARA Yoko
1
,
MIYAKE Hidehiko
1,2
1お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所
2お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系
pp.681-686
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000160
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はじめに
ライフスタイルの変化や経済社会の変化に伴い,家族にもっぱら子育てを委ねることは大きな負担となる。家族は就業,家事,ケアや介護に追われ,とくに乳幼児期の子育て世代の親には負荷が高まりやすい1)。さらに現代は,インターネット情報をはじめとした多くの情報に溢れ,その情報に惑わされて混乱や誤解を生むこともある。一方で,遺伝性疾患については疾患情報が欠如していることも少なくない。児それぞれの成長・発達段階に応じた支援が,子育て世代の親に伝わり理解される必要がある。遺伝性疾患であっても助成の支給対象とならない場合もあるが,本稿は遺伝性疾患および障害のある児の社会福祉,子育て支援および医療費助成制度を中心に現時点での概略を述べる。また,このような制度の存在や手続きを知らなければ適切な助成を受けられないこともわが国の制度の特徴である。
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