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産科の看護体制について—新生児の看護体制を確立せよ
一條 元彦
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.37-40
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201602
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さきに本誌17巻12号に当科婦長に依り"産科の看護体制について"の一文が掲載されたが,今回は更に次いで産科看護体制のうち最も閑却されていると思われる新生児看護体制に就いて聊か検討して見た。
現在新生児の看護を顧みる時,甚だしく貧相・消極的な実態が直視されるであろう。それは新生児の看護体制が,実の処新生児を主体として確立されていない事に起因する。今日迄新生児の看護は産科看護の従であり,余力であり,甚だしくは"オマケ"であると思う一般患者の通念から,権威の無いものとなつていた。この事は当然病院管理業務の面にも尾を引いて,新生児に対する医務関係者の理解は院長・事務長で既に乏しく,況や医療体係の官僚統制にあずかるお役人に至つては,親が無くとも1人で育つて来た様な顔をするのも無理からぬことであつた。斯くして新生児は弱体の中に敢えて呱々の声をあげていたのである。
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