特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
総論
新生児における遺伝学的検査の現状と課題
大橋 博文
1
OHASHI Hirofumi
1
1埼玉県立小児医療センター遺伝科
pp.659-663
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000156
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はじめに
新生児における遺伝学的検査として最初に臨床導入されたのは染色体検査であり,今なお先天異常の第一選択検査の位置を占めている。一方で遺伝学的検査技術は大きく発展し,現在ではFISH(fluorescence in situ hybridization)検査,MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)検査,シーケンス検査,メチル化特異的PCR・MLPA検査,染色体マイクロアレイ検査(CMA),など多くの遺伝学的検査法が利用可能である。それによって染色体異常のみならず,染色体微細欠失(重複)症候群,単一遺伝子疾患,インプリンティング関連疾患などの幅広い疾患群が診断可能となっている。さらには次世代シーケンス解析の技術開発によって疾患や症状に対応する多くの遺伝子をセットで解析する疾患パネル解析,すべての遺伝子を網羅的に解析する全エクソーム解析や全ゲノム解析も登場した。長く懸案であった遺伝学的検査の保険収載も進んできていて,直近の2021年10月にはCMAが保険収載された。本稿では新生児におけるこれらの疾患の遺伝学的検査が現状どのように行われているかについて概説したい。
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