特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
総論
胎児の遺伝子検査の現状と課題
澤井 英明
1
SAWAI Hideaki
1
1兵庫医科大学病院遺伝子医療部
pp.641-644
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000152
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はじめに
ここ数年の出生前診断の大きな変化は,非侵襲的な遺伝学的検査として,「超音波検査」と「母体血中細胞フリー胎児DNAを用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal testing:NIPT)」によりもたらされた。超音波検査については,妊娠10~13週ごろに実施し,胎児の頸部浮腫(nuchal translucency:NT),静脈管血流量,三尖弁逆流,鼻骨低形成などを調べることで,胎児が21トリソミーやほかの染色体異常症に罹患している確率を求めて,それが一定基準値よりも高いか低いかで,陽性・陰性を判定する。また同時期により感度・特異度の高い超音波検査と母体血清マーカー検査〔inhibin-Aとpregnancy associated plasma protein(PAPP)を組み合わせた複合検査(combined test)〕も実施されている。こうした非侵襲的検査は個別のスクリーニング検査(非確定的検査)と位置づけられており,陽性の場合には確定診断検査としての遺伝学的検査が必要になる。
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