症例
診断に苦慮した産褥期卵巣静脈血栓症
中川 公平
1
,
宮原 義也
1
,
加嶋 洋子
1
,
下川 航
1
,
江島 有香
1
,
林田 恭子
1
,
細谷 俊光
1
NAKAGAWA Kohei
1
,
MIYAHARA Yoshiya
1
,
KASHIMA Yoko
1
,
SHIMOGAWA Kou
1
,
EJIMA Yuka
1
,
HAYASHIDA Kyoko
1
,
HOSOTANI Toshimitsu
1
1明石医療センター産婦人科
pp.422-425
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000097
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緒 言
産褥期卵巣静脈血栓症は,帝王切開後に1~2%と好発する。産褥2,3日目ごろから発熱,下腹部痛,卵管角上方に圧痛を伴う腫瘤の触知が主徴である。診断には造影MRI検査と造影CT検査による静脈血栓の証明が感度・特異度ともに高く有用であり,治療には適正な抗菌薬に加え,抗凝固療法が必要である。今回,造影MRI検査と造影CT検査を施行したにもかかわらず,診断に苦慮し,2回目の画像検査により診断され,抗凝固療法を行い軽快した症例を経験した。症例は33歳,2経妊1経産婦,既往帝王切開1回のため選択的帝王切開が施行された。術後6日目に下腹部痛,発熱を認め抗菌薬による治療を開始したが奏効せず,術後12日目に造影MRI検査を施行した。腹痛,熱源を疑う所見を認めず,抗菌薬治療を継続したが軽快しなかった。術後13日目に造影CT検査を施行し,産褥期卵巣静脈血栓症との診断にいたり,抗凝固療法を追加し軽快し,術後24日目に退院となった。
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