特集 大腿骨近位部骨折治療のエキスパートを目指そう
総論
診断に苦慮する場合のポイント
渡部 欣忍
1
1帝京大学医学部整形外科学講座/帝京大学附属病院外傷センター
キーワード:
不顕性骨折(occult fracture)
,
大腿骨近位部骨折(hip fracture)
,
脆弱性骨折(fragility fracture)
,
脆弱性疲労骨折(insufficiency fracture)
,
疲労骨折(fatigue fracture)
Keyword:
不顕性骨折(occult fracture)
,
大腿骨近位部骨折(hip fracture)
,
脆弱性骨折(fragility fracture)
,
脆弱性疲労骨折(insufficiency fracture)
,
疲労骨折(fatigue fracture)
pp.1112-1120
発行日 2021年11月19日
Published Date 2021/11/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000801
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典型的な現病歴と身体所見から大腿骨近位部骨折を疑った場合,診断確定のために最初に行う画像検査は両股関節正面像と軸位像の単純X線像である。実際には骨折しているのに,単純X線像だけで診断を確定できない骨折をoccult fracture(不顕性骨折)とよぶ。大腿骨頚部/転子部骨折の数%はoccult fractureである。Occult fractureなのか,真に骨折していないかの鑑別のために行う2番目の画像検査としては,MRIとCTが診療ガイドラインでは推奨されている。MRIの感度・特異度はほぼ100%でT1強調像が最も有用な撮影方法である。CTは,感度・特異度でMRIにやや劣るが,迅速に撮影でき,コストが低く,MRI禁忌例でも検査できるという利点がある。若年者の大転子単独骨折が裂離骨折であるのに対して,高齢者の大転子骨折は直達外力による受傷であり,骨折部は大転子にとどまらず転子間に進展していることが多い。
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