特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
生殖補助医療(ART)の立場から
PGTの現状と今後の展望 エビデンスからみたPGT-Mの有用性
佐藤 卓
1
,
水口 雄貴
2
SATO Suguru
1
,
MIZUGUCHI Yuki
2
1医療法人財団荻窪病院虹クリニック
2慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.341-344
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000080
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はじめに
1990年代初頭に初めて実施された着床前遺伝子診断(preimplantation genetic diagnosis:PGD)は,長らく単一遺伝子疾患の患者を家系内にもつカップルが,疾患罹患児の妊娠・出産をくり返すことを予防する目的で実施されるための技術を指してきた。その後,片親のもつ均衡型相互転座などの染色体構造異常に原因する流産の減少と,あるいは体外受精の成績向上を目的とする,その2つの染色体診断のためのPGDが実施されるようになると,これはむしろ実施数のうえで主流となった。その混沌とする状況を整理するごとく,2017年にはICMART(The International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technologies)によるterminologyに関する新たな提言がなされており,単一遺伝子疾患のためのPGDは,PGT for monogenic/single gene defects(PGT-M)と呼称され,そのほかのPGTとは区別されるにいたった。
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