特集 周産期のステロイド
臨床編:産科
妊娠高血圧症候群:COMT不全
金﨑 啓造
1
KANASAKI Keizo
1
1島根大学医学部内科学講座(内科学第一)
pp.61-67
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000013
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はじめに
妊娠は腎臓を含めたすべての臓器に対して顕著な変化をもたらす。これらのすべては正常な胎児の発育,胎盤への血流維持・胎児への適切な栄養分配を目的としており,妊娠時に変動するクリニカルバイオマーカーやインスリン抵抗性の惹起,血圧の変動なども同様である。これらの恒常性破綻に関連する妊娠高血圧腎症(PE)に関しては,未だ「The disease of theory」の域を出ないが,われわれが提唱してきたカテコール代謝不全の病態意義により,PEに認められる代謝異常・高血圧の特徴・マグネシウム(Mg)不足の意義など多くが説明可能である。本稿ではカテコール代謝酵素であるcatechol-o-methyltransferaseの意義に焦点をあてて記載する。
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