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第31回 腎と妊娠研究会 【シンポジウム:HDPの腎障害を再考する】
Catechol-O-methyltransferase不全と妊娠高血圧腎症
The deficiency in catechol-O-methyltransferase and preeclampsia
金﨑 啓造
1
KANASAKI Keizo
1
1島根大学医学部内科学講座 内科学第一
キーワード:
COMT
,
Mg
,
sFlt-1
,
PlGF
Keyword:
COMT
,
Mg
,
sFlt-1
,
PlGF
pp.780-785
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000384
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はじめに
Catechol-O-methyltransferase(COMT)は,生体内catechol(カテコール)代謝に必須のマグネシウム(Mg)依存性酵素である。17β-estradiolの中間代謝産物2-hydroxyestradiol(2-OHE2)はCOMTの基質であり,多様な臓器保護効果が示されている2-methoxyestradiol(2-ME)に代謝される。筆者らは,妊娠高血圧腎症(PE)の重症例では胎盤COMT蛋白・血中2-ME濃度がともに抑制されていることを報告した。妊娠は腎臓を含めたすべての臓器に対して顕著な変化をもたらすが,これらのすべては正常な胎児の発育,胎盤への血流維持・胎児への適切な栄養分配を目的としている。これらの恒常性破綻に関連するPEに関しては,“the disease of theory” といわれて久しいが,筆者らの提唱するCOMT不全の病態意義により,PEに認められる代謝異常・高血圧の特徴・Mg不足の意義など,多くが説明できる。
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