特集 周産期のステロイド
臨床編:産科
妊娠高血圧症候群:発症予知―17β-dehydrogenase
大口 昭英
1
,
瀧澤 俊広
2
OHKUCHI Akihide
1
,
TAKIZAWA Toshihiro
2
1自治医科大学産科婦人科学講座
2日本医科大学分子解剖学
pp.55-59
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000012
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国において,正確なpopulation-based studyはないが,妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)は2~3%程度に発生していると推定される1)。PEの真の原因は未だ不明であるが,早産期発症PE(preterm PE)では,その多くがsoluble fms-like tyrosine kinase 1(sFlt-1)が上昇し,placental growth factor(PlGF)が減少しており2),PE発症前に変化することからsFlt-1/PlGF比の増加はPE疑い妊婦におけるその後のPE発症予知に有用である3,4)。われわれは,PEの発症にmicroRNA(miR)が関与しているのではないかと仮説を立て研究を開始した。最初に,胎盤が胎盤特異的miRを母体血中に放出していることを発見した5)。続いて,miRがPEの発症に関与しているかどうかを基礎研究および臨床研究(コホート研究)で検討した。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.