特集 小児科医が知っておきたい産科の基礎知識
各論 基本的疾患
妊娠高血圧症候群
成瀬 勝彦
1
NARUSE Katsuhiko
1
1獨協医科大学産科婦人科学教室
pp.777-780
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002444
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はじめに
妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は,妊娠中に存在する高血圧の総称であり,複合的な要因によって発症する。歴史的にみても,また現代においても出血と並ぶ母体死亡の主因である。児に対しても胎児発育不全(FGR),胎盤機能不全,常位胎盤早期剝離といった緊急性の高い病態と関連が深く,周産期医療の観点からみても最重要疾患の一つである。治療法は現時点で対症療法のみであり,疾患を終結させるために児を娩出するしか手段のないことがほとんどであるが,そのための人工早産は児の予後を左右するため,早くから産科と新生児科の密接な連携が欠かせない。

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