特集 妊娠高血圧症候群2024
基礎編:病態機序
Catechol-O-methyltransferase(COMT)不全
植木 典和
1
UEKI Norikazu
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
pp.1349-1353
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001747
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はじめに
カテコールはベンゼン環上のオルト位に2個のヒドロキシ基を有する有機化合物である。ドパミンやノルアドレナリン,アドレナリンなどのカテコールアミンはカテコール基とアミノ基を有する化合物であり,カテキンやタンニンなどのポリフェノールもカテコールを含んでいる。Catechol-O-methyltransferase(COMT)はカテコール環を有する化合物のメタ位の水酸基をO-メチル化し,不活性化する酵素である。COMT遺伝子は単一遺伝子で,可溶型soluble COMT(S-COMT)と膜結合型membrane-bound COMT(MB-COMT)の2種類のアイソフォームに転写翻訳される。さまざまな臓器に発現しているが,脳ではMB-COMT,肝腎ではS-COMT発現が多い。MB-COMTは形質膜や小胞体膜,核膜などに局在し,S-COMTは細胞質に広く分布し核内にも存在するが,これらの働きに関しては十分に解明されていない。
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