特集 DOHaDと周産期医療
DOHaDと周産期医療:母体合併症・管理とDOHaD
妊娠高血圧症候群
三島 桜子
1
,
衛藤 英理子
1
,
増山 寿
1
MISHIMA Sakurako
1
,
ETO Eriko
1
,
MASUYAMA Hisashi
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学
pp.1511-1514
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001783
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
妊娠高血圧症候群におけるDOHaD
妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of Pregnancy:HDP)は,全妊娠の5~10%に発症し,母体・胎児ともに重篤な合併症を引き起こすおそれがある。近年,HDPの母体から出生した児が将来,代謝性疾患や心血管疾患に罹患するリスクが高いことを示す研究が増加している。長期疫学研究により,子宮内で妊娠高血圧腎症に曝露した児は,内分泌疾患または代謝性疾患を発症するリスクが高く,若年成人時の高血圧および肥満のリスクが2~3倍上昇することが示されている。HDPと児のその後の代謝性疾患および心血管疾患リスクとを結びつける根本的な機序は,まだ完全には解明されていない。しかしながらこれらの変化は,胎内でのHDPへの曝露による胎児期のプログラミング,疾患に対する共通の遺伝的感受性,出生後の生活習慣要因(食生活,喫煙,アルコール,ストレス,身体活動)など,さまざまな要因に起因すると考えられる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.