特集 周産期のステロイド
基礎編
胎児期のHPA axis(早産児のコルチゾール産生能)
河井 昌彦
1
KAWAI Masahiko
1
1京都大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター
pp.21-23
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000004
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はじめに
早産児は急性期のカテコラミン不応性低血圧・早産児晩期循環不全・慢性肺疾患の急性増悪など相対的副腎不全による合併症の頻度が高い1)。相対的副腎不全とは,コルチゾールの絶対的な分泌不全ではなく,ストレスに見合う十分量のコルチゾールが分泌されず不足に陥ってしまう病態を指す用語で,臨床的現場でしばしば用いられるが,検査データなどで診断することはきわめて難しい。われわれはCRH負荷試験を行うことによって診断可能であることを報告したが2),新生児の臨床において,相対的副腎不全を疑う児に負荷試験を行うことはたやすいことではないことは承知している。本稿では,胎児期のHPA axisの変遷を解説し,本来子宮内で生活すべき時期に子宮外で過ごすことを余儀なくされた早産児のコルチゾール産生能を推察する。
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