特集 新たに注目される頭頸部癌治療
分子標的治療薬
アンドロゲン遮断療法
多田 雄一郎
1
Yuichiro Tada
1
1国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター
キーワード:
分子標的治療薬
,
アンドロゲン遮断療法
,
アンドロゲン受容体
,
唾液腺導管癌
Keyword:
分子標的治療薬
,
アンドロゲン遮断療法
,
アンドロゲン受容体
,
唾液腺導管癌
pp.1364-1370
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000846
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はじめに
アンドロゲンは,ステロイドホルモンの1つで,男性ホルモンとも呼ばれ,テストステロン,ジヒドロテストステロン(DHT)など,男性ホルモンの総称である。正常前立腺では,胎生期の性分化,生殖器官の機能維持,二次性徴発現,蛋白質同化促進などの作用を示す。前立腺癌細胞では,治療開始時点において,約90%がアンドロゲン依存性増殖能を有するとされている。そのため,手術療法,放射線療法が発達した現在でも,前立腺癌に対するアンドロゲン遮断療法は重要な位置を占めている。唾液腺導管癌(salivary duct carcinoma:SDC)においては,約90%の症例でアンドロゲン受容体(androgen receptor:AR)が発現しており,ARを治療標的とした研究が報告されるようになった。
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