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球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は20歳~40歳台に発症する伴性劣性遺伝を示す下位運動ニューロン疾患である8,11,24)。本症の病因は,アンドロゲン受容体の第一エクソン内のCAGリピート部位が正常の約2倍に異常延長することであると考えられている2,4,10,11,26)。しかしこのアンドロゲン受容体遺伝子異常が本症の病態発現にどのような関連を有するのかは現在の所不明である。とくに本症の中核病変である下位運動ニューロンの細胞死をどのような機序によってもたらすのかは不明であり,その機序の解明が重要な課題である。本稿では二つの点からこの問題に関するデータを提示し,この問題を考えてみたい。すなわち第一はCAGリピートの異常延長に基づく変異アンドロゲン受容体蛋白の発現レベルとその分布,とくに病変分布との関係についてであり,第二にはこの変異アンドロゲン受容体がアンドロゲンの転写活性をどのように変異させているかについて述べる。さらに本症における運動ニューロン死については,いわゆるgain of toxic functionとlossof functionの両者の立場について考察する。また最近CAGリピート病で問題になっている核内封入体についても若干触れる。
Spinal and bulbar muscular atrophy (SBMA) is an X-linked recessive motor neuronopathy caused by the expansion of unstable CAG repeats in the coding region of the androgen receptor (AR) gene. To study the cellular and tissue distribution of normal and mutant AR protein in normal as well as SBMA individuals, we used a monoclonal antibody which specifically recognizes the polypeptide sequence of human AR, and analyzed neural and nonneural tissues by Western blotting and immunohistochemistry.
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