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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第1章 腎疾患患者への薬の使い方
18.非典型溶血性尿毒症症候群:エクリズマブ,ラブリズマブ
Atypical hemolytic uremic syndrome:eculizumab and ravulizumab
加藤 規利
1
Kato Noritoshi
1
1名古屋大学医学部附属病院腎臓内科
キーワード:
補体
,
抗C5抗体薬
,
血栓性微小血管症
Keyword:
補体
,
抗C5抗体薬
,
血栓性微小血管症
pp.117-121
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002116
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1 はじめに
非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は,補体介在性TMA(complement-mediated TMA:CM-TMA)とも称され,血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を呈する疾患のなかで,補体第二経路の異常な活性化による血管内皮細胞傷害に起因するTMA疾患を指す。補体制御因子に先天的な異常を認める場合,あるいは補体因子に対する後天的な機能阻害自己抗体をもつ場合,そのような背景がみつからないケースでも,感染症,妊娠・出産を含め,強い補体活性化のトリガーが加わった場合にTMAを発症し,臓器障害としては,特に急性腎障害を発症する場合が多い。生命予後,腎予後ともに非常に悪い疾患であったが,2013年に抗補体薬(抗C5抗体薬)であるエクリズマブが使用可能となってから,治療にパラダイムシフトが生じ,治療成績が改善している。また昨今,新たな抗補体薬が次々と開発されており,C5以降の終末補体経路のみならず,C3がC3a,C3bに開裂する前までの近位補体系に働きかける抗補体薬に関する薬剤も開発され,知見の集積が待たれる。

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