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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
G.腎・泌尿器・生殖器疾患
溶血性尿毒症症候群
Hemolytic uremic syndrome
藤丸 季可
1
Rika Fujimaru
1
1大阪市立総合医療センター小児医療センター小児総合診療科
キーワード:
溶血性尿毒症症候群
,
血栓性微小血管症
,
志賀毒素産生性(腸管出血性)大腸菌
,
非典型溶血性尿毒症症候群
,
補体制御異常
Keyword:
溶血性尿毒症症候群
,
血栓性微小血管症
,
志賀毒素産生性(腸管出血性)大腸菌
,
非典型溶血性尿毒症症候群
,
補体制御異常
pp.660-664
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001312
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1 疾患概念
溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)は,血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)の代表疾患である。TMAは,種々の要因によって血管内皮細胞が障害されることで発症する。最初に血小板が凝集して血栓が形成され,消費性の血小板減少が起こる。次に,血小板血栓により血管内腔が狭くなった部分に赤血球が物理的に衝突して破砕され,溶血性貧血が起こる。さらに,血小板血栓により血管内腔が閉塞すると臓器障害が起こる。HUSは主な標的臓器が腎臓であるため,溶血性貧血,血小板減少,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が3主徴である。HUSは,志賀毒素産生性(腸管出血性)大腸菌によるHUS(Shiga toxin producing Escherichia coli-HUS:STEC-HUS)と先天性・後天性の補体制御異常による非典型HUS(atypical HUS:aHUS)に大別される。小児期に発症するHUS(小児HUS)は,約90%がSTEC-HUSであり1),aHUSは希少疾患のため小児慢性特定疾病に指定されている。
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