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特集 腎性貧血の最新動向―2025年版CKD患者における腎性貧血治療ガイドラインの要点と実践
総論
腎性貧血の病態―エリスロポエチン産生不全
Molecular pathology of renal anemia:insights into erythropoietin gene transcription
石岡 広崇
1,2
,
鈴木 教郎
1,3
ISHIOKA Hirotaka
1,2
,
SUZUKI Norio
1,3
1東北大学大学院医学系研究科酸素医学分野
2東北大学大学院医学系研究科腎臓内科学分野
3東北大学未来科学技術共同研究センター酸素代謝制御プロジェクト
キーワード:
貧血
,
エリスロポエチン(EPO)
,
PHD阻害薬(HIF-PHI)
,
REP細胞
Keyword:
貧血
,
エリスロポエチン(EPO)
,
PHD阻害薬(HIF-PHI)
,
REP細胞
pp.282-286
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002014
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はじめに
腎性貧血は,腎機能障害の進行に伴って引き起こされる重要な合併症の1つである。その主病態は,患者体内のヘモグロビン(hemoglobin:Hb)値の低下に対して,赤血球産生を促進するホルモンであるエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が十分に産生されないことである。腎性貧血の治療には,遺伝子組換えヒトEPOなどの赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis-stimulating agents:ESA)が長年使用されてきたが,炎症や鉄利用障害などによるESA低反応性がしばしば問題となっている。EPOは主に腎臓で産生・分泌され,骨髄に存在する赤芽球前駆細胞の増殖および分化を促すことで,全身の各組織への酸素供給を維持するという重要な役割を担っている。腎臓のEPO産生量は,低酸素誘導性転写因子(hypoxia-inducible factor:HIF)を中心とした生体応答機構によって厳密に制御されている。HIFを介した低酸素応答機構の解明は,医学・生物学における大きな進歩であり,内在性EPO産生を誘導する新たな腎性貧血治療薬の開発として結実した。

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