今月の主題 輸血の実際と血液製剤
輸血のトピックス
エリスロポエチン
八木田 旭邦
1
1杏林大学医学部・第1外科
pp.636-637
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222409
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エリスロポエチン(erythropoietin;EPO)は,骨髄中に存在する赤血球前駆細胞の分化と増殖を促進する造血ホルモンである.最近の遺伝子工学の進歩により遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン(rt-EPO)が大量に産生されるようになり,慢性腎不全に伴う血液透析患者の貧血症に劇的な効果が証明されつつある1,2).
一方,輸血はさまざまな疾患あるいは病態における貧血症の有力な治療手段の1つであるが,ウイルス感染などの媒介あるいは新鮮血輸血などでは移植片対宿主病(GVHD)の誘因とも考えられている.また,悪性腫瘍症例に対する輸血は免疫抑制的に作用し,術後の生存率を不良にするとの報告が筆者も含めて多数なされている.
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