特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第11章:腎 臓
透析患者の貧血はエリスロポエチン不足,鉄不足だけではない
倉賀野 隆裕
1
1兵庫医科大学循環器・腎透析内科
キーワード:
貧血
,
ミネラル不足
,
鉄利用障害
,
ESA低反応
Keyword:
貧血
,
ミネラル不足
,
鉄利用障害
,
ESA低反応
pp.739-741
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_739
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日本透析医学会が発表している「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」1)では,腎性貧血とは腎臓においてヘモグロビンの低下に見合った十分量の造血ホルモンであるエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が産生されないことにより引き起こされる貧血であると定義されている.近位尿細管周囲間質に存在するEPO産生細胞は,腎機能障害低下に伴う腎血流量の低下や尿細管間質障害によりEPO産生刺激が不十分となる.よって何らかの原因により貧血状態となっても慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者は貧血を改善させる十分なEPOが産生されず貧血が進行し,これがCKDに伴う貧血の主な原因として考えられている.実際に,非CKD患者と比較して保存期CKD患者や透析(hemodialysis:HD)患者は同程度の貧血状態において血中EPO濃度が低いことが示されている2).
© Nankodo Co., Ltd., 2021