Japanese
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特集 ヘマトネフロロジー
序文
ヘマトネフロロジーの概念と本特集にあてて
Hematonephrology:an emerging concept
伊藤 秀一
1
ITO Shuichi
1
1横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学
キーワード:
ヘマトネフロロジー
,
血液
,
腎臓
,
臓器連関
Keyword:
ヘマトネフロロジー
,
血液
,
腎臓
,
臓器連関
pp.7-8
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001953
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腎臓は,全身の恒常性を維持する中枢臓器として,体液調節や老廃物排泄に加え,造血,免疫,内分泌系とも深く関与し,体内の恒常性維持における中枢的役割を担っている。造血,電解質バランス,酸塩基調節,ビタミンD代謝,エリスロポエチン産生など,血液・免疫・骨・代謝と多岐にわたる生理機能を統合し,臓器ネットワークのハブとして機能している。そのため,腎臓の障害は単独臓器の病変にとどまらず,しばしば全身性病態の一環として捉える必要がある。なかでも血液・凝固系との関連は特に密接であり,血液疾患が腎臓に影響を与え,逆に腎機能の変化が血液動態や治療方針に大きく影響する場面が,臨床現場では日常的にみられる。血液と腎臓の交差点に存在する数多くの疾患群,例えば多発性骨髄腫に伴う腎障害,補体異常による血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA),血液悪性腫瘍に関連するアミロイドーシスや単クローン性ガンマグロブリン血症,移植片対宿主病(graft vs host disease:GVHD)や免疫抑制後の腎炎症など,これらはすべて,「血液疾患としての顔」と「腎疾患としての顔」をあわせもち,診療科の垣根を越えた理解と介入を要する。
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