特集 腎臓と他臓器連関を考える―CKDにおける包括的治療戦略を目指して
特集のねらい
脇野 修
1
1慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科
キーワード:
慢性腎臓病
,
臓器連関
,
metabolic kidney disease
,
腎加齢
Keyword:
慢性腎臓病
,
臓器連関
,
metabolic kidney disease
,
腎加齢
pp.162-166
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_162
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今回「腎臓と他臓器連関を考える」という特集を企画し,腎不全や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)が及ぼすさまざまな臓器への影響について多面的にまとめる機会を得た.本稿では本特集のねらい,意義について総説的に述べてみたい.
腎臓病学の近年の大きな動きの一つが,それまで「慢性腎不全」といわれていた腎機能の慢性的な低下を「CKD」と診断するようになったことである.CKDは原因疾患のいかんにかかわらず,① 尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか(とくに0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要),② GFR<60mL/分/1.73m2,のいずれかまたは両方が3ヵ月以上持続する状況で診断する.この意義は腎臓の機能障害を早期の段階から診断して治療介入を考えようということであるが,CKDが透析や腎移植を必要とする末期腎不全のリスクであるとともに心血管病のリスクとなっていることが明らかになったことが根拠となっている.ここで重要なのは,このCKDの意義にすでに心腎連関という臓器連関が意識されていることである.すなわち,CKDの診断とはすでに臓器連関を診断することにほかならない.腎臓病の診療においては,腎臓自体の問題,すなわち腎疾患の原因検索と進行阻止のための治療とともに,臓器連関が重要なパートなのである.
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