Japanese
English
特集 CKD-MBDの新しい潮流
CKD-MBD治療
CKD-MBD管理の新しい知見 リン低下薬と予後
Effect of phosphate binder use on Clinical Outcomes
緒方 浩顕
1,2
,
齊藤 佳範
1
,
加藤 雅典
1
,
竹島 亜希子
3
OGATA Hiroaki
1,2
,
SAITO Yoshinori
1
,
KATO Masanori
1
,
TAKESHIMA Akiko
3
1昭和大学横浜市北部病院内科腎臓
2昭和大学横浜市北部病院医学教育学
3昭和大学江東豊洲病院内科腎臓
キーワード:
CKD-MBD
,
高リン血症
,
リン吸着薬
,
心血管障害
,
総死亡
Keyword:
CKD-MBD
,
高リン血症
,
リン吸着薬
,
心血管障害
,
総死亡
pp.400-404
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000890
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はじめに
リン(P)は生体の構成物質であり,遺伝情報の伝達,細胞内シグナル伝達,エネルギー代謝などに関与するきわめて重要な物質である。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では,糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)が減少すると尿中P排泄量が低下,生体へのP負荷が増大するが,P利尿因子である副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)が副甲状腺から,線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23:FGF-23)が骨組織から分泌され腎からのP利尿を促進するために,この代償機構が破綻する末期腎不全までに高リン血症が顕在化することは少ない。一方,腎機能が廃絶した透析患者では,ほとんどの患者で高リン血症がみられる。高リン血症が注目される理由は,それが心血管イベントや総死亡リスクと関連することが大規模観察研究から示されているからである1~6)。興味深いことに,保存期CKD患者や一般集団においても,血清P濃度が正常範囲内でもその高値は心血管イベントリスクや総死亡リスクの上昇していることが報告されており,P負荷が,心血管石灰化,心肥大や好中球機能低下などの生体機能異常に重要な役割を演じている可能性が指摘されている。
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