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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
19.CKD-MBD治療薬:骨粗鬆症治療薬;デノスマブ
Denosumab for osteoporosis in individuals with CKD
緒方 浩顕
1
,
竹島 亜希子
2
,
三村 優樹
1
Ogata Hiroaki
1
,
Takeshima Akiko
2
,
Mimura Yuki
1
1昭和医科大学横浜市北部病院内科腎臓
2昭和医科大学江東豊洲病院内科腎臓
キーワード:
骨粗鬆症
,
デノスマブ
,
CKD-MBD
Keyword:
骨粗鬆症
,
デノスマブ
,
CKD-MBD
pp.226-230
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002137
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1 はじめに
骨粗鬆症は,骨量の減少と骨組織の微細構造異常を背景に骨脆弱性の増大により,易骨折性が生じる病態である。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)と骨粗鬆症は糖尿病,運動不足,喫煙やステロイド使用歴およびカルシウム欠乏など共通の危険因子,病態を有していることが多く,加齢とともに両者の合併頻度は上昇する。進行したCKDでは非CKDに比較して,骨密度(bone mineral density:BMD)の低下だけでなく,骨質の劣化が顕著であることが知られている1,2)。CKD G3a~G5Dの成人患者における大腿部頸部骨折および非椎体骨折リスクを検討した系統的レビューとメタアナリスでは,非CKD患者に比較してCKD患者では両骨折リスクとも増大しており,CKDステージの進行とともに大腿部頸部骨折リスクが上昇することが報告されている。日本透析医学会のレジストリデータを解析した結果では,透析患者の年間骨折発生率は男性で7.57,女性で17.43件/1000人・年であり,一般集団に比較すると相対リスクは高く,その傾向は若年層でより顕著である(図1)3)。日本人血液透析(hemodialysis:HD)患者における大腿骨頸部骨折後の死亡リスクは,非骨折患者に比較して,骨折患者では1.56倍(95%信頼区間1.46-1.66)と有意に高値であり,積極的な骨粗鬆症治療,CKD-mineral and bone disorder(CKD-MBD)管理は骨折だけでなく,死亡リスクの低減につながることが予想されている。

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