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特集 SGLT2阻害薬を再考する――機序・効果・安全性の最新情報
SGLT2阻害薬と交感神経活性
The effect of sodium-glucose cotransporter 2 on sympathetic nervous system
林 義大
1
,
金﨑 啓造
1
Yoshihiro HAYASHI
1
,
Keizo KANASAKI
1
1島根大学医学部内科学講座内科学第一
キーワード:
交感神経活性化
,
SGLT2阻害薬
,
糖尿病性自律神経障害
,
心血管自律神経障害(CAN)
,
COMT
Keyword:
交感神経活性化
,
SGLT2阻害薬
,
糖尿病性自律神経障害
,
心血管自律神経障害(CAN)
,
COMT
pp.1035-1040
発行日 2024年9月21日
Published Date 2024/9/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290121035
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糖尿病では全身の交感神経活性化が生じている.交感神経活動の亢進は合併症の発症・進展に寄与しており,その制御は糖尿病治療において重要である.交感神経活性化には,糖尿病性自律神経障害,腎障害・腎ストレスで惹起された求心性腎神経活性化による交感神経中枢である吻側延髄腹外側野(RVLM)の活動亢進,レニン-アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系亢進によるRVLM刺激,圧受容器反射異常,カテコールアミン代謝に関わるマグネシウム(Mg)依存性酵素のCOMT活性低下などが関与している.SGLT2阻害薬は腎障害抑制や糸球体過剰濾過などの血行動態是正,心不全抑制などを介して求心性腎神経を抑制し,交感神経活動を低下させるほか,圧受容器反射感受性の改善により交感神経を抑制する.また,血中Mg濃度上昇,肝臓のCOMT活性上昇とカテコールアミン代謝亢進による交感神経抑制作用も示唆している.交感神経制御による臓器保護の観点から,SGLT2阻害薬の積極的な臨床使用と新たな可能性が期待される.
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