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特集 囊胞腎
【多発性囊胞腎(ADPKD)の合併症とその治療】
多発性囊胞腎に伴う囊胞感染症
Cyst infection in patients with ADPKD
諏訪部 達也
1
SUWABE Tatsuya
1
1虎の門病院 腎センター内科
キーワード:
多発性囊胞腎
,
ADPKD
,
囊胞感染症
,
抗菌薬
,
囊胞ドレナージ術
Keyword:
多発性囊胞腎
,
ADPKD
,
囊胞感染症
,
抗菌薬
,
囊胞ドレナージ術
pp.576-582
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000336
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Ⅰ 囊胞感染症とは
囊胞感染症とは,常染色体顕性(優性)多発性囊胞腎(ADPKD)患者において,肝囊胞または腎囊胞の内容物が感染する状態で,腎囊胞感染症と肝囊胞感染症がある。囊胞感染症は,ADPKD患者にしばしばみられる合併症で,欧米では,30~50%のADPKD患者が囊胞感染症を経験し1),ADPKD患者の入院のうち11%を占めたと報告がある2)。日本全国から難治性囊胞感染患者が集まる当院においては,ADPKD患者の入院のうち,約50%を囊胞感染症が占めていた3)。閉鎖腔である囊胞内での感染のため,難治化し再発を繰り返すことがある。最多では,50回以上も入院を繰り返す患者がみられる。著明な腫大肝が,難治性囊胞感染の最大の危険因子と報告されている4)。また,免疫力の低下している透析患者では,特に囊胞感染症が難治化しやすい5,6)。
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